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中学受験カウンセラー・安浪京子さんと考える子どもの受験、親はどう向き合う?  【前編】 

「くらしのリサーチ、頼れる味方」では、子育て世代の ”知りたい” に答えるさまざまなトピックをご紹介。その分野にまつわる専門家と、Yohanaのスペシャリストとの対談を通じて、くらしに役立つヒントをお届けします。

今回のテーマは「中学受験への親の向き合い方」。数年に渡る長期戦になる中学受験、子どもだけでなく親が息切れせず乗り切るには? 必要なサポートや適切なコミュニケーション、心得ておきたい伴走の仕方についてお話しします。

【PROFILE】
安浪 京子(やすなみ きょうこ)
中学受験カウンセラー、算数教育家。受験算数とメンタルサポートを専門とした中学受験のプロ家庭教師派遣サービス「アートオブエデュケーション」代表取締役。算数指導をはじめ、セミナーでの講演、各種メデイアや書籍での執筆など、幅広く中学受験の情報を発信する。
野村(のむら)
Yohanaのスペシャリスト。お客さまの要望や相談に合わせて、さまざまな調べごとやサポート、予約・手配などを手がける。自身も2人の子どもを育て、中学受験を経験したキャリアを活かし、教育関係のリサーチや、コミュニケーションを得意とする。


中学受験はさせるべき? 子どもの向き・不向き

野村さん(以下、野村):
日頃、受験生のお子さんを持つ保護者からのご相談を多く受けますが、私自身も2人の子どもの中学受験を経験しました。それぞれ向き不向きがあったように感じて、お客さまにも、できるだけ子どもの個性に寄り添った提案がしたいと感じています。

そもそものお話ですが、安浪先生は中学受験は必要だとお考えですか?

安浪さん(以下、安浪):
中学受験に関わる立場だからこそあえて言いますが、何もせずとも進学できる。受験はマストではありません。

現代はSNSや広告で必要以上に受験を促す傾向があって、それにより「やらないとだめなのではないか」と不安になりがちですよね。でも、大事なのは情報に流されず家庭の方針を決めることです。

野村:
たしかに漠然とした不安から「中学受験の概要が知りたい」という相談も多いですね。子どもの適性を考えるとしたら、どんな基準で向き不向きを決めるべきでしょうか?

安浪:
第一に、いわゆる机上の学習に積極的に取り組めるか。ただ、そんな子はきっと一握りですよね。なので受験に対する適性と言うよりは、その子がのびのびと成長するために、私立と公立のどちらが合っているかを考えるべきなのだと思います。

活発な子なら運動に打ち込める環境。予算の多い私立には、スポーツや部活動に力を入れているところも多くあります。小学校の勉強を物足りなく感じる勉強好きな子は、私立で同じような個性を持つ子が集まる環境の方が、のびのびと過ごせるかもしれません。

ひと昔前の受験と比べた今の変化は、学力に特化しないユニークな私学が増えたこと。勉強を頑張るためだけではなく、個性を伸ばすために私学を受験するという選択肢もあるんです。公立の良さが平等ならば、私立の良さは自由なところ。よりフィットする場を見つけるための受験という選択もありだと思います。

大人は見守るより「関わる」スタンスで

野村:
いざ受験をすると決めたら、大人はどんなスタンスでいるべきでしょうか。私自身も2回の中学受験を経験する中で、向き合い方には悩みました。

安浪:
子どもの個性や家庭によってさまざまですが、共通して言えるのは「大人はしっかり関わるべき」ということ。共働きの保護者だと、つい塾任せになってしまいがちですが、私は親のサポートこそ大切だと考えています。

小学生は、まだ親と一緒に過ごしたい年齢です。勉強に付き合えるならば付き合ってあげて欲しいですし、ただそばに居てあげるだけでも構いません。厳しい受験勉強の中でせめて孤独を感じないように、行動で伝えてあげてください。受験は親子で一緒に乗り越えるものです。

どんなサポートができる? 中学受験・大人の手引き

中学受験には親が積極的に関わるべき、と安浪さん。具体的にどんな場面でサポートができるのか、伺っていきます。

始める時期と、始め方は?

ポイント① 始めるのは「小学3年生の終わり」から

野村:
最近では小学校低学年の子をもつお客さまからの相談も増えています。いつ頃から始めるのが適切でしょうか?

安浪:
1、2年生から塾に入ると有利、と思われるかもしれませんが、入試まで先が長いため、モチベーションが途切れやすく、何より心配なのは勉強が嫌いになってしまうこと。受験が終わっても、勉強はその先も続きますから、それでは元も子もありません。

基本的に学習塾では、3年生の3月から受験のカリキュラムが始まります。受験までのスケジュールを考えた上での時期なので、いわゆる"受験勉強”はそれより前に始める必要はないと考えています。

とはいえ、計算や漢字に学年は関係ないので、日々の学習ルーティンを作っておくという意味でも、家庭で無理なく取り入れられ、親子で楽しめるならば取り組めば良いと思います。今は日本地図や、地図記号、語彙、漢字のかるたなんかも色々出ていますよね。繰り返しになりますが、低学年の間はとにかく「楽しく無理なく」がキーワードです。

ポイント② 1年目は親子のウォーミングアップ。2年目から学習に本腰を入れて

安浪:
4年生である1年目はウォーミングアップの期間と考えましょう。そもそも受験勉強を乗り切るには「学習体力」が必要。長時間机の前に座っていることも、集中力の維持にも、基礎体力が必要です。

塾通いに慣れたら、次いで家庭学習。取り組める宿題の量は子どもによって異なります。いきなり通塾と宿題を同時に完璧にこなせるようにはなりません。様子を見ながら、各家庭のペースを作っていくイメージですね。

野村:
時間をかけて少しずつ本腰を入れていくイメージですね。受験に慣れていく期間は、大人にとっても必要かもしれません。

以前お客さまにおすすめしたのは、大人向けの受験マニュアルのような書籍です。私自身受験を経験したとき、どんな心構えでいるべきか、気持ちの面でのハウツーも知りたいと感じました。

『令和の中学受験 保護者のための参考書』は、保護者のための中学受験マニュアル。現代の中学受験ならではの常識や心構え、志望校の選び方、子どもとのコミュニケーションのとり方など具体的なノウハウが全網羅されていて、まずはこれを読めば安心です。

『中学受験「必笑法」』は、親子で「やってよかった」と笑顔になれるような受験にするために、保護者が読むべき本。心理カウンセラーでもある著者が、不安や焦りの感情につぶされずに受験と向き合うための考え方を説いています。

▲(左から順に)『令和の中学受験 保護者のための参考書』(著:矢野耕平 / 講談社)、『中学受験「必笑法」』 (著:おおたとしまさ / 中公新書ラクレ)

志望校の選び方は?

野村:
志望校選びに関するお悩みは特に多いです。自分の子に合うのはどんな学校か、候補になりそうな学校をリストアップしてほしいというご相談も。そんな時は『首都圏版 中学受験案内』(声の教育者)」のような部活やイベント、食堂の有無まで情報が充実した中学受験ガイドを提案したり、近くにある私立を一通りリサーチしたりしています。安浪さんはどんなアドバイスをされていますか?

ポイント① 子どもの苦手より「得意」を伸ばす学校がおすすめ

安浪:
中学受験案内は幅広い学校が一覧できて、概要を把握する上では便利だと思います。ただその分、並立的なので、個性がわかりづらいのが難点。偏差値などの表面的な情報でしか良し悪しが判断できません。

私立の学校は多種多様なので、その個性を知ることが重要。私は保護者の方に「子どもの得意なことを伸ばしてくれる学校を選びましょう」と伝えています。

たとえば英語が苦手な子を、英語の授業や留学制度の充実した学校に入れて英語好きにしたいと考えても、それでは逆効果になりかねません。英語が好きになる前に、ストレスで不登校になる可能性があります。

苦手を克服する場より、好きなことと向き合える場を選ぶことが、結果として子どもの成長にはベストな選択だと考えています。

ポイント② アクセスのしやすさも大事。通学時間、経路も考慮して

安浪:
通いやすさの意味では、自宅から近いことも重要。遠いほど学校に向かうハードルが高くなり、学校でなにか嫌なことがあった時に、腰が重くなります。もちろん、熱望校に片道2時間近くかけて元気に通う子も沢山いますが、目安として1時間前後で行ける方が、日々通う上では負担になりません。

通学経路のチェックも意外と大切です。使う路線によって混雑状態や車内の様子にも違いがあるので、できるだけストレスにならない経路を選べるといいですね。

野村:
自分の子に合う学校を探すためには、相談に乗ってくれる第三者の存在が必要な場合もあると考えています。

Yohanaでは教育に関わるコンサルティングサービスを行う『OyaConsult(オヤコンサル)』を運営する株式会社シャイニング・プロデュースと提携していて、こちらもおすすめしています。子どもの個性や家庭の状況を詳しく伺った上で、教育のセカンドオピニオンとしてプロの視点からおすすめの学校をご提案するので、学校選びの視野が広がります。

ここまで中学受験について、親としての向き合い方、どんな場面でサポートができるのかなどについて安浪さんにお話を伺いました。後編では、受験に向けてのスケジュール管理、最後まで息切れせず乗り切るための心構えなどについてご紹介します。
▶ 【後編】は こちら へ。

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