
家事シェア研究家・三木智有さんと考える、家族がもっと自由になる「シェア」のはじめ方 【後編】ゴールはどこにある?
「くらしのリサーチ、頼れる味方」では、子育て世代の "知りたい" に答えるさまざまなトピックをご紹介。その分野にまつわる専門家と、Yohanaスタッフとの対談を通じて、くらしに役立つヒントをお届けします。
今回のテーマは「家事シェアのはじめ方」。家事をはじめくらしの中にあるさまざまなTo-doを誰かとシェアすることのメリット、その先にある理想の家庭のかたちを、専門家の三木さんと、Yohanaガイドのさやかさんが対談します。後編では、家事シェアの本質的な目的を考え、その先にある理想の家庭のかたちについてお話します。( ▶【前編】わが家に合うスタイルを知る は、こちら へ)
ただ家事をシェアするだけじゃない、「気持ちのシェア」の重要性
三木:
先にあげたように、家庭のスタイルに合わせてシェアしていくというのがベースのやり方。ただ、運用する上で少しでもうまくいかないと感じたら、シェアのスタイルを変えてみる潔さが大事です。うまくいかないのは当たり前。むしろそのたびに夫婦で話し合いを重ね、よりフィットするシェアの形を模索していくプロセスこそ大切だと考えています。
本当のところ、家庭内において一番シェアすべきは家事ではなく「気持ち」なのではないかと感じているんです。一つ一つのタスクが大変だから悩んでいるということではなくて、常にそれに対するプレッシャーが頭の中にある状態、それをパートナーが同じ重さで受け止めてくれていない状態が辛い。それを改善するために必要なのは、家事のシェアだけでなく、対話とお互いの理解です。
僕がYohanaさんをいいなと感じるのは、さやかさんのように、何かあれば常に相談ができる存在になってくれること。物理的にタスクを分け合える存在も大事ですが、本質的に必要なのは、プレッシャーをシェアできる相手なのだと思っています。

さやか:
私もお客さまのお話を聞きながら、家事の負担を50:50にすることがその本質的な希望ではないなと感じています。家事やくらしのさまざまなことに同じ熱量で向き合って、同じように喜びや難しさを感じる、その気持ちをまるごとシェアしたいんですよね。
だからこそ考えるのは、家族と大切なことをシェアするために、他の誰かがやればいいことは私たちに任せてもらえたらいいということです。それは家事だけではないかもしれません。たとえば週末の予定を計画すること。楽しい旅行の予定だって、旅先の食事や交通手段など、調べることは誰かの負担になりますよね。それをYohanaにまるごとシェアしていただければ「私だけが大変だ」と感じずに、家族みんなが純粋に旅行を楽しむことができるかもしれません。
そういう、本来あるべき心の余白を生み出すために私たちのサービスを活用していただきたいと思っています。
お客さまから、「今日は夕飯の買い物をYohanaさんにお願いできたから、保育園のお迎えの帰りに、子どもと手を繋いでゆっくり歩くことができました。」「咲いている花の写真を撮って、スマホでその花の名前を調べることができました。」というくらしの変化を報告いただくことがあります。家事に追われて取りこぼしてしまっていた、本来大切にしたい体験に目を向けて、余裕が生まれることこそ、家事シェアの本当の目的ではないでしょうか。
子どもとも「シェア」できる? お手伝いの先にある「家事シェア育」
三木:
夫婦間だけでなく子どもとも家事をシェアする方法があります。わが家でも娘が保育園の頃から家事の一部を任せてきました。
ここで大事なのは、シェアするもの「家族のための家事」であること。それから「お手伝いとシェアの違いを認識する」ことです。
たとえば出したおもちゃを片付けることは家事ではなく、自分がやったことの後始末。それはシェアとしてお願いすべきことではありません。家事とは、くらしを回すための役割で、その一部をシェアしているんだよ、という認識をしっかり持たせて必要な役割を与えてあげることが大事です。
わが家の場合、それはトイレ掃除でした。2〜3歳の頃から娘の担当としてシェアし、最初はトイレブラシをもって遊んでいるだけのような状態でしたが、今ではすっかり彼女の家事に。トイレットペーパーが切れたまま替えられていないと「誰なの?」と怒られたりもします。くらしのために、トイレを心地よく回すことが娘の役割になっていて、本人もそこに責任をもって自覚している。これが「シェア」できていることだと思います。
お手伝いとの違いは、単発的でなく、かつ家事の一部分ではなく、工程の全部を担うこと。なのでシェアするならば全てが完結して任せられるものを選ぶといいでしょう。そして、それをやらなければ、くらしが回らない家事にすること。たとえば「ごはんを炊くこと」なら、毎日の食事にごはんを並べることが子どもの役割になります。それを忘れてしまえば、ごはんが食べられない。責任まで任せることがシェアです。
そうすることは、ただお手伝いをさせることでは得られない責任感や、自律心の芽生えにつながると感じています。それは学校では教えてもらえない、くらしの中での学び。生きていく上で必ず役にたつことだと考えています。
さやか:
くらしに責任を持たせることは、生きる上で確実にプラスにつながりますよね。夫婦間の家事の負担のお悩みを聞くことは多くありましたが、子どもへのシェアを提案することはありませんでした。今後はそれも一案としてお客さまに投げかけてみたいと思います。
「家事シェア」のゴールはどこにある?

さやか:
こうしてお話を聞くだけでも、Yohanaと三木さんの考えには通じていることが多々あって、共感することがたくさんありました。家事をシェアすることが本質的な目的ではないというお話を先ほどしましたが、三木さんは「家事シェア」を提唱しながら、その最終的なゴールはどこにあるとお考えですか?
三木:
家族が家族であることで、より自由であると感じられることだと思っています。家族が増える=自分の時間がなくなる、束縛されるといったイメージをもたれがちですが、僕は家族が増えたことでより世界が広がったと感じています。
そうやってそれぞれが健全に自由を感じながら生きていくためには、誰かひとりに偏らず、チームとして助け合いながらくらしていけることが理想です。家族がいることで、くらしがもっと楽しめる。それが家事シェアのめざすところだと考えています。
さやか:
「自由」だと感じられるには、心の余裕が必要ですよね。それはやっぱり何かを手放すことから生まれるものなのだと思います。
Yohanaのサービスを通じて私たちが届けていきたいのは「頼りやすいって生きやすい」というメッセージ。今のくらしに自由を感じられるように、少しでも何か負担に感じる部分を頼ってほしい。その頼り先として私たちに何ができるのか、今後も考えながら、サポートしていきたいです。
Yohanaなら「家事の困りごと」をさまざまな入り口からサポートいたします
・家事をスムーズに進めるための道具やアイデアのリサーチ。
・家事代行を頼めるサービスの提案。
・どこから頼む? 家庭に合わせた家事シェアの方法相談。
ご家庭の状況に合わせてお手伝いします。
▶もっとYohanaについて知りたい方は、
こんなとき、Yohanaに頼って!【基本編】をご覧ください。
▶Yohanaの最新情報や、くらしのTo-do(タスク)を解決する方法は、
Yohana Instagram へ。