“西園寺さん”からのメッセージ「意外と、周りは愛に溢れている!」-「横澤夏子の『本日も送り迎え』」
仕事に家事に育児にと、縦横無尽に大活躍中の横澤夏子さんによる、子育て家庭の怒涛の毎日を応援するPodcast番組。
こちらのnoteでは、各エピソードの書き起こし記事をお届けします。
日々の暮らしにちょっと役立つアイディアをお届けしたり、リスナーのみなさんから寄せられる「あるある」なおたよりに、笑いあり、涙ありで向き合っていきます。
横澤 今回のゲストは漫画家のひうらさとるさんです。よろしくお願いします!
ひうら よろしくお願いします、ひうらさとるです。
横澤 代表作『ホタルノヒカリ』はテレビドラマ化されて大きな話題になりました。さらに最近ドラマ化された『西園寺さんは家事をしない』は働き方や家事をテーマにしていて、リスナーの皆様も共感できる作品となっております。もうすごい、ひうら先生の作品に何度助けられたことか……!
家族じゃない人にも手助けを求めて良い
横澤 『ホタルノヒカリ』もそうでしたけど、今やられてる『西園寺さんは家事をしない』では、ズボラでもいいんだなっていう助け舟を出してくださって。
ひうら そうですね。家族の形はいろいろあるっていうか、それこそこの番組のテーマでもあると思いますが、手助けしてくれる人は家族じゃなくても、血のつながりがなくてもチームとしてやっていけるという感じの話ですね。
横澤 本当にYohanaにぴったりです。「頼りやすいって生きやすい」、頼って生活していきましょうよ、というのを漫画でまず発信してくださって、それがまたテレビドラマ化されていて。表ではバリバリのキャリアウーマンで頑張ってるけど実はズボラで、家の中のすさまじさはあんまり周りに言いたくないな……っていうところを全部オープンにしてくださったおかげで「いや、西園寺さんもそうだったらいいでしょ」って思えるようになったというか。
ひうら もう、全部は無理ですよねぇ。
横澤 やっぱりそうですよね。今回はそんな『西園寺さんは家事をしない』の“中身”の方とお会いできるということで(笑)、すごくうれしくて。ちなみにひうら先生は、西園寺さん的なところはあるんですか?
掃除なんてしなくても死なない
ひうら 私も家事はしないですね。
横澤 そうなんですか! 断言された! じゃあ家事はどうされてるんですか。
ひうら 本当に西園寺さんがこの間ドラマで言ってたように、ルンバのボタンを押すとか洗濯機のボタンを押すぐらいしかしなくて。
横澤 それも十分家事ですけどね。いやもう本当に、グサグサ刺さってきて。家事をしなくてもいいんだというか。
ひうら 「掃除なんてしなくても死なない」ですね(笑)。
横澤 そう、それがもう名言で! なかなかそこまで開き直れなくて、「すべてやらなきゃ」っていうプレッシャーをどこか背負いながら生きてるじゃないですか。どうしてこの作品を描こうと思ったのかというところを、まずお伺いしたいです。
ひうら そうですね。『西園寺さん』でもそうなんですけど、やっぱり普段思ってる違和感とか疑問、今回だったら「なんで血縁関係じゃないと“家族”って言わないんだろう」とかそういうところですよね。「なんでなんだろう」みたいな違和感や、小さな怒りみたいなものが多分自分の中にあって。「なんとか楽にならないかな」「解決できないかな」っていう気持ちがほかの3つぐらいのアイデアとつながって、面白く描けるかなって思えました。
横澤 素晴らしい。やっぱり疑問だったり怒りだったりをどう伝えていくかっていうところで、作品を作り上げてるんですね。すごいエネルギッシュですよね。
『西園寺さん』は自身の経験もふりかえりながら作られた
横澤 今、お子さんはおいくつですか?
ひうら 私は高齢出産だったんで、子どもは今15歳、中3です。
横澤 私から見たらすごい未来だ……。中学校3年生ってなると結構もう手は離れてますよね。やっぱりお子さんがルカちゃんくらいの年齢だった時代を思い出しながらみたいな、ご自身の経験も含まれてるんですか?
ひうら そうですね。思い出しながら描いてたんですけど、ドラマのルカちゃんって本当に4歳だから、観てると「こういう感じだったな〜!」ってリアルに思い出しますね(笑)。
横澤 ドラマを通じて、シングルファーザーの待遇というか、まだそこまでなかなか支援が行き届いてないんだなっていうところも初めて知りました。
ひうら あと、やっぱり男の人って女性より言いづらいっていうのがありますよね。女性だったら友達とわいわい話すけれど。旦那さんは、不満を言う友達はおられます?
横澤 全然いないと思います(笑)。だからふつふつと溜めちゃってるんでしょうね。
ママ友って優しくて、愛にあふれている
横澤 Yohanaというアプリは本当にすごくて、私も人にあんまり頼ることができなかったんですけど、「頼る」ってことを教えてくれるんですよ。
ひうら 「頼っていいんですよ」っていうこと?
横澤 例えばですけど、「家の周りの、子ども連れで行ける朝ごはんのお店を調べてください」とか。ちょっと頑張れば自分でできるけど人の意見を知りたい、でも近所にそれを教えてくれるお友達がなかなかいないんだよな〜っていうときに聞いてみると、自分の力ではたどり着けなかったお店の情報がポンポンと出てくるんです。それと、支援だったりに関してもそうですね。区からベビーシッターの助成金が出るんですよね。その会社がいくつかあるんですけど、「それぞれの会社の善し悪しを教えてください」とか。
ひうら それはすごいですね
横澤 全部きれいにまとめてくれて「この力、すごい!」みたいな。友達に頼むのもちょっと……と思うところとか、自分でできないところ、かゆいところに手が届くんです。西園寺さんも、いろんな人にお願いしたりするようになりますよね。私が好きなシーンで、ルカちゃんの誕生日パーティーを頑張って準備するんですけど、頑張った末にママ友さんから「いや、一品持ち寄りでいいんじゃない?」って言われたときの西園寺さんの顔! 「嘘でしょ、いいの!?」みたいな、解き放たれた顔をするじゃないですか。やっぱり、頼るという選択肢がないんですよね。あの表情や考え方がすごい共感できて、うれしい〜って思ったんですよ。
ひうら よかった。あのシーンは漫画にもあるんですけど、世間一般というか、電子コミックとかだとママ友は争いの部分が描かれがちですよね。
横澤 「あなた、タワマンの何階なの」みたいなギスギスしてるイメージが(笑)。今までは結構そういうのが結構切り取られてましたもんね。
ひうら そうそう(笑)。実際に娘が保育園に通ってた頃、私も「怖いんじゃないか」「自分が変に振舞ったら娘がいじめられるんじゃないか」って思ってたんですけど、でも結局みんな保育園に預けるぐらい忙しい人じゃないですか。だからそんなに干渉しないし、なんならそれこそ「時間ないから、みんなで持ち寄りで集まろう」みたいなこともあったし。やっぱり世間のイメージがちょっと意地悪なほうに行き過ぎてるんじゃないかなって思います。
横澤 ちょっと1回、泣きますね。
ひうら えぇ!?(笑)
横澤 本当に、めちゃくちゃ愛にあふれてるんですよね、ママ友って(泣)。だけどメディアではギスギスしたところが汲み取られて……私は悪口のネタが多いから「『嫌いなママ友』っていうネタ、やってください」ってすごい言われるけど、意外に世間は優しいっていうこと、めっちゃありますね(笑)。
『ホタルのヒカリ』⇒『西園寺さん』で感じた世間の変化
横澤 ひうら先生の目から見て、女性と世間がどう変わってきているのか、みたいなところもすごい知りたくて。
ひうら 私が『ホタルノヒカリ』を描く前、ズボラで家でゴロゴロしてるとか、まとめて服を脱ぐとかって、女性に話すと「あるある」ってなるんですけど、男の人は「その人は何か問題があってそういう行動に出ているの……?」みたいな感じだったんですよ。
横澤 まとめ脱ぎ、ドラマで綾瀬はるかさんがやってた! 衝撃のシーン(笑)。
ひうら でも今やもう一般化して男性も「僕、干物男です」って言うぐらいじゃないですか。それと今回、『西園寺さん』のドラマを観て「あぁ」と思ったのが、野呂佳代さん演じる西園寺さんのお友達の陽毬(ひまり)ちゃんが、「やめとけよ!」みたいなことは言うけど、「もう38歳なんだから落ち着けよ」とか「この年齢だから結婚しなきゃ」とか、そういうことは言わないんですよね。
横澤 たしかに!
ひうら 陽毬ちゃん自身は婚活もしてるけど、やっぱり年齢がどうこうってあんまり言わない。
横澤 フラットですよね。そこに違和感もあんまりなかったです。それは今、ちょっと世間が変わりつつあるところなのかもしれないですね。
ひうら そうだと思います。だからやっぱり変わっていってるんだな、ちょっとずつマシになっていってるんだな、って思いますね。
横澤 そうですね。そこにいちゃもんつけたりしなくても、普通に話が成り立ってるっていう。ママ友も世間も、どんどん人は良くなっているんですね(笑)。
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